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MUSICAL Experience record
The PHANTOM of the OPERA

Her Majestys Theatre

2005.04.06


夕刻、ピカデリーサーカスへ向かう。
4月7日、ロンドン最終日。最後のロンドンの思い出にと、日本で予約購入したバウチャーをもってピカデリーへ向かう。開演時間は7:30分、多少のゆとりを持って行こうと、少し早めにサウスケンジントンのアストンズ・アパートメントを出て、バスで約15分ほどでPiccadilly Circusへ 。ピカデリー・サーカスの交差点を南へ向かい坂を下りきる少し手前に、ハーマジェスティズ・シアターはある。


まだ、開演までに40分ほどあるので、近くで軽く食事でもと思いあたりを見渡してみるが、開演前のひとときを楽しむような気の利いたCafeは見当たらない。探しまわるほどの時間もないので、あきらめて劇場のチケット交換窓口でとりあえずバウチャーに交換しようと思い、中に入ってみる。


劇場の歴史は古く、1705年にクイーンズシアターとして開かれ、1837年に、名前をハー・マジェスティーズ・シアターに変え、2度の火災で焼失後、1869年に再建。 第二次世界大戦後、1958年のウエスト・サイド物語、および屋根の上のバイオリン弾きなど、数々のミュージカルを上演。1986年10月9日、オペラ座の怪人はアンドリュー・ロイド・ウェバーによって上演以来ロングランを続けている。1994年に外部ドームと劇場内部の一部を改修している。


すでに、多くの人々がチケット売り場に並んでいる。当日チケットを購入している人の列を横目に、バウチャー交換窓口でチケットをすぐに入手。席はすでに予約時に7列目の35番と決まっているので早めに来て並ぶ必要はなく安心だ。バウチャーを交換してまもなく劇場の案内人が順次お客を場内に誘導し始めている。

ピカデリーで一応ディスカウントチケットショップを覗いてみたが、Phantom of the Operaのチケットはなかった。他の劇場の演目も席の指定はなく、価格的にもそれほど安くなっているわけではなさそうだ。「ロンドンでなら安いチケットが入手できる」という情報も良く聞くが、やはり人気の演目や、Stallなどのいい席のチケットは早めに予約購入しておいた方がよさそうだ。

チケット売り場の反対側ではプレミアムグッヅが販売されており、人だかりができている。何を売っているのか興味津々のぞいてみると、どうやら、パンフレットとプログラム、さらにTシャツやCD、ボールペンなどのプレミアムグッズのようだ。これほど格式のありそうな劇場であるにも関わらず、ドリンクやスナックの販売もしている。


結局、何も買うことなく案内されたとおり入場者の列に並ぶと、切符を切られて通 された奥には待合室のような広めの部屋があり、カウンターではアルコールやソフトドリンク、スナックなどが売られ、ソファに座りきれない人々がグラス片手に開演時間を待っている様子だ。早めに到着したことを良かったと思った。もし、開演時間間近だったら……と、ほっと胸をなでおろす。中にはクロークもあり、荷物を預けている人、会話に花が咲いている人、みなさまざまな様子で開演を待っている。めかし込んだ老女2人が席がなく困っている様子なので、そのまま席を譲り、トイレを済ませ、そそくさとステージに向かった。


ホールの素晴らしさに感動。
待ちあい室に入れなかった人々がすでに席につき、オーケストラはチューニングの真っ最中だ。席は前から7列目、35番はやや右側といった感じだが、この位 置からならオペラグラスなしで充分俳優の微妙な表情までわかりそうで、予約したチケットがStall席であることを実感した。あたりを見回すと2階席が大きく1階側にせり出しだしている。あそこでも見やすいだろうなと思いつつ、あとでそこがドレスサークル席であることを知る。改めて席について天井を見上げてみると、劇場の装飾の素晴らしさがすごい迫力で迫ってくる。思わすシャッターを切ってしまい、注意され撮影禁止であることを確認。
前の席との通路は狭く、後から客が来るたびにいちいち立ち上がって席を譲らないととても通 行できないほど通路幅は狭い。みな、プログラムを眺めたり、ステージ上の何やら不審なシートに覆われた物体に想像を馳せ、静かにその時を待っているかのようだ。ドレスアップした老夫婦、若いカップル、みんなそれなりにきちんとした格好をしているようだ。男性の場合やはりジャケット程度は必要な感じだし、この空間にはやはりそういった格好がにあう。

そして、いよいよ開幕!スレージライトがゆっくりフェードアウトして、ステージが漆黒の闇に変わる。そして、体の芯を揺さぶるフルオーケストラのサウンドが響きはじめた………

中略




ミュージカルの初心者。
「オペラ座の怪人」は、すでに日本で上映されていた映画を観ていたので、ストーリーはおおむね理解していた。この演目を選んだのは、「映画とどの程度違うのか」「あの映画のシーンを大道具だけでどう表現するのだろう」「みんながいいというTHE FANTOM OF OPERAがどんなものなんだろう」などといった、なかばのぞき趣味的感覚で観ようと決めたのも事実であった。現に私自身ミュージカルは2度目、2年前に観たレ・ミゼラブルが初めてで、全くの初心者なのである。確かにレ・ミゼラブルの時は感動したことは今でも覚えてはいるのだが……………。当時は、ロンドンでディスカウントチケットを買ったため、あまりいい席ではなく、オペラグラスがないと良く出演者が見えなくて、ストーリーも英語が聞き取れず良く理解できていなかった全くの初心者なのだ。

映画版の「オペラ座の怪人」を見たときは、「さほど感動しなかった」というのが正直な私の気持ちだったのである。ところが……

演目の内容については、今後観られる方のためにも多くは語らない方が良いと思い、内容の掲載は避けさせていただきます。












ロンドン最後の夜。
ステージが幕を下ろす。そして、鳴りやまぬ 拍手喝采………………!そして、出演が紹介され、最後に………!
まさに、スタンディングオベーション、ブラボー!ブラボー!拍手はいつまでたっても鳴りやむことが無い。
言葉は何も出てこない、ただ、涙だけが止めどなく溢れてくる。
これほどの感動といったものを味わったことが無く、まったく言葉にならない。
体が震え、いつまでもこの席に座っていたいという思いだけが込み上げてくる。

だが、今夜がロンドン最後の夜、明日は早朝からコッツウォルズへ向かう。
ホテルにまっすぐ戻る気にはどうしてもなれず、劇場前で何することなくポスターなどをぼんやり眺めている。まもなく、夜11時をまわろうとしているのに一向に帰路につく人はいない。みな思い思いに劇場をバックに記念撮影したり、ハーマジェスティとの別 れを惜しんでいた。







どうしようもない感動に、心は放心状態のまま、ふと、ビッグベンを観たくなった。
今回のロンドンでまだきちんと挨拶していない。そうだ、ビッグベンに会いに行こうと思った。
どうしようと、パートナーの顔を見ると、それだけですぐに帰りたくないことだけは解った。

無言のままハーマジェスティズ前、道路の向こうに見えるバス停からWestminsterの文字だけを確認してバスに飛び乗る。
お客も少ないバスに揺られ、頭の中はただ「あの」テーマだけがいつまでも流れていた。






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